染料工程などで、ファッション業界が消費する水は年間約930億立方メートルに上り、海洋に流出される合成繊維片(マイクロファイバー)は約50万トン。また、炭素排出量では世界の約10%を占めるといいます。
色々な分野でサスティナビリティーやエシカルなどという言葉が使われていますが、ファッション業界でも環境に配慮する動きがどんとんと広がっているように感じます。
「バイオガーメントリー」と名付けられた生地は藻類から作られており、光合成によって周囲の空気をきれいにできるとのこと。
この写真の生地はまだ試作品とのことらしいですが、そんな生地ができたらお洋服以外にもたくさんの用途がありそうですよね。
汚れみたいに見えるのが藻なのかな?? 今後技術革新が進めば、デザイン性にも優れた生地ができそう。
カーボン・ネガティブなファッション
カーボンネガティブとは 経済活動によって排出される温室効果ガス(主に二酸化炭素)よりも、吸収する温室効果ガスが多い状態を指します。
綿や麻のように、衣服づくりに伝統的に使われてきた植物は、成長過程で炭素を吸収します。ただ、ライフサイクル全体で見ると、大半の天然素材はやはり炭素排出量が吸収量を上回るそうなんです。
一例として、世界で最も広く使われる天然繊維である綿のTシャツを考えてみる。
綿シャツがライフサイクルを通じて排出する二酸化炭素は推計15キロ。大半はエネルギーを大量消費する生産と染色の過程で排出されます。
そこで環境志向の新興企業は近年、ブナ材から作ったカシミヤ風のビーチウエアや、サボテンを原料とする革など、代替となる天然繊維を多数提案してきた。その多くは炭素を分離する可能性を秘めるが、今のところ、衣服のライフサイクルを通じて排出量を差し引きゼロにする目標は達成できていない。特に、衣服の洗浄と染色の過程で排出量が大幅に増えているのが実情だ。いわゆる「カーボン・ネガティブ」な企業は代わりに、排出量を純減させるため、植樹を通じた炭素の相殺に取り組んでいるのが現状のようです。
こちらはMcCurdy氏よる、藻などの生分解可能な原料から作ったプラスチック風の生地で作られたレインコート
藻は光合成によって空気中から二酸化炭素を取り込むため、成長に伴い炭素を分離する。微細藻類なら地上の植物の10倍もの太陽光を取り込むことが可能だ。成長スピードも早く、数時間でバイオマスを倍増させる種もいるそうです。
McCurdy氏は今のところレインコートを商品化するつもりはないという。この作品を通して多くの人に、気候変動や異常気象について、あるいは化石燃料に頼らない未来について想いを馳せてほしい、というのが彼女の願いだそうです。
また、ファッション産業のあり方を問い直す国際活動団体のデルフィーヌ・ウィリオット氏は、「多くの企業は自社の衣料がどこで作られているのか、生地がどこで生産されているのか、原材料の供給者が誰なのかを知りません」と指摘する。
こうした状況を改善すべく、新しいアイデアを提示したのは衣料のトレーサビリティー(追跡可能性)を手掛ける「ファイバートレース」だ。同社は、ファッション小売業の業界誌で、今年のサステナビリティ賞に選ばれた。
ファイバートレースの技術では、除去不可能な生物発光性の顔料を糸に付着させる。この糸が使われた衣料では、バーコードのスキャンと同じ要領で原産地などを知ることができるのだ。
ファイバートレースのアンドルー・オラー氏は、「衣服がどこで作られたかが分からなければ、環境への影響を知ることはできません」と語る。
また、「サプライチェーンを公開しないのは、何かを隠しているか、愚かであるかのどちらかです」としながら、「やらなければならないことは多いですが(中略)私はとても楽観しています」と続けた。【翻訳編集】AFPBB News
食品の原材料や原産地を確認するようおに、身につける衣服も確認することが当たり前の時代がやってくるのでしょうね。